○南牧村美しいむらづくり条例
平成18年9月20日
条例第5号
私たちが暮らす南牧村は、雄峰が連なる八ヶ岳と千曲川の清流に育まれ、自然環境を最大限に利用した開拓農業による高原野菜の生産地、国内有数の保健休養地として歴史を刻んできた。
この自然環境を保全してゆくとともに、優れた自然環境に根ざして形成されてきた生活環境に更なる磨きをかけ、責任を持って次代に引き継いでゆくため、この条例を定めるものである。
目次
第1章 総則(第1条~第8条)
第2章 むらづくり審議会(第9条)
第3章 土地利用計画(第10条・第11条)
第4章 村内行為の手続(第12条~第27条)
第5章 村内行為実施時の遵守事項(第28条~第31条)
第6章 村内行為の承認基準等(第32条~第34条)
第7章 むらづくりの推進(第35条・第36条)
第8章 雑則(第37条~第39条)
第9章 罰則(第40条)
附則
第1章 総則
(目的)
第1条 この条例は、自然環境及び生活環境が村及び村民にとって共有の財産であることを踏まえ、これらの保全に関する村、村民、事業者の責務を明らかにするとともに、建築物の建築、土地の形質の変更等の行為に対する規制等について必要な事項を定めることにより、美しいむらづくりに寄与することを目的とする。
(1) 自然環境
土地、大気、水及び動植物その他の自然の生態系をめぐる環境をいい、山岳、渓谷、河川、湖沼及び森林その他の自然資源の景観を含むものとする。
(2) 生活環境
人の生活に関係のある環境をいい、人の生活に密接に関係のある財産を含むものとする。
(3) むらづくり
優れた自然環境、伝統と文化及び健康で快適な生活環境を守り、育てることをいう。
(4) 村内行為
建築物その他屋外広告物等の工作物(以下「建築物等」という。)を建築又は設置する行為、土地の形質を変更し、若しくは土地利用を変更する行為又はこれらに類する行為をいう。
(5) 屋外広告物
常時又は一定の期間継続して屋外で公衆に表示されるものであって、看板、立看板、はり紙及びはり札並びに広告塔、広告板、建築物等に掲出され、又は表示されたもの並びにこれらに類するものをいう。
(6) 村民
村内に住所若しくは居所を有する者又は村内にある土地若しくは建築物等を所有し、管理し、若しくは使用する者をいう。
(7) 事業者
村内行為を行おうとする者又は当該村内行為に係る土地若しくは建築物等を所有し、管理し、若しくは使用する者をいう。
(8) 近隣関係者
ア 村内行為に係る区域に隣接する土地又は建築物等を所有し、管理し、又は使用する者をいう。
イ 村内行為によって生じる排水によって著しい影響を受けると村長が認めた者をいう。
ウ その他村内行為によって特に著しい影響を受けると村長が認めた者をいう。
(村の責務)
第3条 村は、この条例の目的を達成するため、次に掲げる事項について必要な施策を実施することにより、むらづくりを推進するものとする。
(1) 自然環境、生活環境の保全に関する規制及び調整を図ること。
(2) 村内行為に関する必要な規制及び調整を図ること。
(3) 廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条で定められているものをいう。)の処理に関する総合的な施策を講じること。
(4) その他むらづくりの推進に関する施策を講じること。
(村民の責務)
第4条 村民は、むらづくりに積極的に参加するとともに、この条例の目的を達成するため、村が実施するむらづくりの推進に関する施策に協力するものとする。
(事業者の責務)
第5条 事業者は、この条例の目的を達成するため、村が実施するむらづくりの推進に関する施策に協力するものとする。
(適用区域)
第6条 この条例は、南牧村全域において適用するものとする。
(適用対象)
第7条 この条例の適用を受ける村内行為は、次に掲げるものとする。
(1) 宅地等の造成、土地の開墾その他土地の形質を変更する行為で、1,000平方メートルを超えるもの
(2) 建築物等を建築又は設置する行為で、増築又は改築によるものを含む。ただし、敷地面積については、第10条第2項の規定による別荘地地区においては1,000平方メートル、野辺山原地区、国道141号沿道地区及び一般山林地区においては330平方メートル、既成集落地区においては200平方メートルを超えるものとする。
(3) 地下水開発で次に掲げるもの
ア 深さ15メートル以上削井するもの
イ ケーシングの径が100ミリメートルを超えるもの
ウ 揚水ポンプの能力が毎分0.1トンを超えるもの
(4) 屋外広告物を設置する行為。ただし、次に掲げるものを除く。
ア 公職選挙法(昭和25年法律第100号)その他法令の規定に基づく選挙運動のために設置するもの
イ 法令又は村条例により設置を義務付けられたもの
ウ 国又は地方公共団体が設置するもの
エ 祭典その他年中行事等のために設置するもの
オ 自己の氏名又は事業について、自己の住居、事務所、営業所等に表示するもの
(5) 土石を採取する行為
(6) 水面の埋立て又は干拓する行為
(7) その他村長がむらづくりを推進する上で、特に影響があると認めたもの
(適用除外)
第8条 この条例は、次に掲げる行為については、適用しない。
(1) 国又は地方公共団体が行う村内行為
(2) 専ら自ら通年居住するための住宅(店舗併用住宅を除く。)を建築する行為
(3) 単なる土地の分合筆のみを目的とした、土地の権利区画を変更する行為
第2章 むらづくり審議会
(むらづくり審議会)
第9条 村長は、むらづくりに関する重要事項を調査し、及び審議するため、南牧村むらづくり審議会(以下「審議会」という。)を設置する。
2 審議会は、村長の諮問に応じて、むらづくりに関する重要事項を調査し、及び審議し、村長に答申するものとする。
3 審議会は、むらづくりについて村長に意見を述べ、又は提案することができる。
4 審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、村長が規則で定める。
第3章 土地利用計画
(計画の策定)
第10条 村長は、この条例の目的を達成するため、土地利用計画(以下「計画」という。)を策定するものとする。
2 村長は、計画において次に掲げる地区のゾーンを定めるものとする。
(1) 自然環境保全地区
(2) 別荘地地区
(3) 野辺山原地区
(4) 国道141号沿道地区
(5) 既成集落地区
(6) 一般山林地区
3 村長は、前項に掲げる地区の目指すべき姿を規則で定めるものとする。
4 村長は、計画を策定しようとする場合は、むらづくり審議会に意見を聴くものとする。
5 村長は、計画を策定した場合は、遅滞なくこれを公表しなければならない。
(施策の実施)
第11条 村長は、計画の実現に向け、土地利用の規制を実施するための必要な措置を実施するものとする。
第4章 村内行為の手続
(事前協議)
第12条 事業者は、あらかじめ村内行為の内容について村長に協議しなければならない。
(近隣関係者等の理解)
第13条 事業者は、村内行為の内容について、近隣関係者の同意を書面により得るよう努めるものとする。ただし、書面による同意が得られない場合は、村長と協議の上、村内行為の内容を村内に周知するものとする。
2 村長は、当該村内行為が関係する財産区又は区の充分な理解を得るよう、事業者に指導することができる。
(指導、勧告及び審議会への諮問)
第14条 村長は、第12条に規定する協議の申出があったときは、必要に応じて技術調査を実施することができる。
3 村長は、前項の規定による勧告を行った場合において、必要と認めるときは、勧告に基づいて講じた措置について報告を求めることができる。
4 村長は、第12条に規定する協議の申出があったときは、必要に応じて審議会に諮問するものとする。
(事前協議終了の通知)
第15条 村長は、当該村内行為について協議を終了したものと認めたときは、事業者にその旨を通知するものとする。
(村内行為承認申請書の提出)
第16条 事業者は、前条に規定する通知を受け取ったときは、村内行為承認申請書(以下「承認申請書」という。)を村長に提出するものとする。
(村内行為の承認等)
第17条 村長は、承認申請書の内容がこの条例等に適合すると認めたときは、当該村内行為を承認し、事業者にその旨を通知するものとする。
2 村長は、前項に規定する承認をしないときは、事業者に理由を付して当該村内行為に係る協議を継続する旨を通知するものとする。
(協定の締結)
第18条 村長は、この条例等に基づきむらづくりの推進のために必要と認めるときは、次に掲げる事項について、事業者と協定を締結するものとする。
(1) 村内行為の方針及び村内行為の計画に関する事項
(2) 公共道路の造成に関する事項
(3) 地下水の利用に関する事項
(4) 村内行為の区域から発生する廃棄物の処理に関する事項
(5) その他村長が必要と認めた事項
(村内行為の内容の変更)
第19条 事業者は、第17条第1項の規定による村内行為の承認の通知を受け取った後、当該村内行為の内容について、次に掲げる変更があった場合は、新たに事前協議を行わなければならない。
(1) 事業者の変更
(2) 村内行為の目的及び用途の変更
(3) 村内行為地の変更
(4) 村内行為の区域の面積の変更
(5) 村内行為に関する設計の変更
2 事業者は、当該村内行為の内容の変更が前項に該当しないものである場合は、その内容を村長に届け出るものとする。
(工事着手届及び完了届等の提出)
第20条 事業者は、第17条第1項の規定による村内行為の承認の通知を受け取った後、工程について、村長、関係機関及び近隣関係者等と協議を行うとともに、工事着手届を村長に提出しなければ当該村内行為に着手してはならない。
2 事業者は、当該村内行為の完了時期を変更しようとするとき、工事を2週間以上中断しようとするとき、及び当該村内行為を廃止しようとするときは、遅滞なく村長に届け出なければならない。
4 事業者は、当該村内行為が完了した場合は、工事完了届を村長に提出しなければならない。
(報告及び調査)
第21条 村長は、事業者に当該村内行為の実施状況その他必要な事項について報告を求め、又は村職員をして当該村内行為の区域に立ち入らせ、調査をさせることができる。
2 何人も、正当な理由なくして、前項の立入調査を拒み、妨害してはならない。
3 第1項の規定により当該村内行為の区域に職員が立ち入る場合は、身分を示す証票を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
(措置命令)
第22条 村長は、この条例の規定に違反して村内行為を行った事業者に対し、その行為の停止若しくは変更又は原状回復その他必要な措置をとるよう、期限を定めて勧告し、又は命令することができる。
2 村長は、第18条に規定する協定に違反する行為を行おうとし、又は行ったと認められる事業者に対し、当該協定の履行の確保について必要な措置をとるよう、期限を定めて勧告し、又は命令することができる。
(行政代執行)
第23条 村長は、前条の規定により措置を命令した場合において、その措置を命ぜられた事業者がその措置を履行しないとき、履行しても十分でないとき、及び履行しても期限までに完了する見込みがないときは、行政代執行法(昭和23年法律第43号)の規定により、その措置を自ら行い、又は委任した者に行わせることができる。
2 村長は、前項の行為に要した費用の全部又は一部について、その措置を命ぜられた事業者に負担させることができる。
3 村長は、第1項の行為を行おうとするときは、審議会の意見を聴かなければならない。
2 村長は、第17条第1項の規定による承認の内容と検査結果が適合しない場合は、期限を定めて改善するよう指導し、又は勧告することができる。
3 村長は、前項の規定による指導又は勧告をした場合、事業者に対しその指導又は勧告に基づいて講じた措置について報告を求めることができる。
(公表)
第25条 村長は、事業者が次の各号のいずれかに該当した場合は、その内容及び事業者の氏名等を公表することができる。
(1) 第12条の規定による協議を怠ったとき。
(2) 第17条第1項の規定による承認の前に工事に着手したとき。
(3) 第17条第2項の規定による協議の継続に従わなかったとき。
(4) 第18条の規定による協定の締結に応じなかったとき。
(5) 第18条の規定による協定を遵守しなかったとき。
(6) 第19条の規定による村内行為の変更に必要な手続を怠ったとき。
(7) 第20条第1項の規定による工程についての協議を怠ったとき、及び工事着手届を提出しなかったとき。
(8) 第20条第2項の規定による完了時期の変更、村内行為の中断及び廃止に係る届出を怠ったとき。
(9) 第20条第4項の規定による工事完了届を提出しなかったとき。
(10) 第21条の規定による村長が求めた実施状況の報告を怠り、若しくは拒否し、又は立入調査を拒否し、若しくは妨げたとき。
(11) 第22条の規定による勧告又は命令に応じなかったとき。
(12) 第24条第1項の規定による完了検査を拒否し、又は妨げたとき。
(13) 第24条第2項の規定による村長の指導又は勧告に従わなかったとき。
(14) 第24条第3項の規定による村長が求めた報告を怠ったとき。
(15) 申請、届出及び報告を必要とする事項について、虚偽の申請、届出及び報告をしたとき。
(農地の転用)
第27条 事業者は、村内行為が農地の転用を伴う場合は、第15条の規定による事前協議終了の通知を受けとった後、南牧村農業委員会に転用申請を行うものとする。
第5章 村内行為実施時の遵守事項
(関係法令の遵守)
第28条 事業者は、村内行為の実施に当たり、土地基本法(平成元年法律第84号)、農地法(昭和27年法律第229号)、都市計画法(昭和43年法律第100号)、建築基準法(昭和25年法律第201号)その他関係法令を遵守しなければならない。
(文化財の保護)
第29条 事業者は、村内行為の実施に当たり、埋蔵文化財について事前に調査するとともに、文化財が出土したときは、直ちに工事を中止し、南牧村教育委員会に届け出て、その指示に従わなければならない。
(公害の防止)
第30条 事業者は、村内行為の実施により、公害が発生し、又は発生するおそれのある場合は、直ちに工事を中止し、その原因除去に努めるとともに、村長に届け出て、その指示に従わなければならない。
(紛争の解決)
第31条 事業者は、村内行為の実施により、自然環境及び生活環境の破壊等に関する紛争又は被害が発生した場合は、自らの責任において解決に当たらなければならない。
第6章 村内行為の承認基準等
(村内行為の承認基準)
第32条 村長は、村内行為の承認基準を定めなければならない。
(廃棄物処理に関する基準)
第33条 村長は、廃棄物処理の基準を定めなければならない。
(給水施設)
第34条 給水施設については、村内行為の区域が村の給水区域内にある場合は、村営水道によるものとする。ただし、給水量の確保が困難な区域にあっては、この限りではない。
2 村内行為の区域の給水需要が村営水道の給水能力を超える場合又は給水が困難な区域であって水道施設の新設若しくは改良が必要な場合は、事業者は、その費用について村長と協議の上負担するものとする。
3 村内行為の区域が、村の給水区域外にある場合は、事業者の負担において専用の水道施設を設置するものとする。
第7章 むらづくりの推進
(助成措置)
第35条 村長は、この条例の施行前に設置された屋外広告物を除却する等の、むらづくりを推進するための活動を行おうとする個人又は団体等に対し、別に定めるところにより、予算の範囲内において、必要な助成を行うことができる。
(表彰)
第36条 村長は、むらづくりを推進するために著しく寄与したと認められる個人又は団体等に対し、審議会の意見に基づき、その功績を表彰することができる。
第8章 雑則
(経過措置)
第37条 この条例の施行前に、南牧村開発基本条例(平成2年条例第23号)の定める手続により建築し、又は設置された建築物等については、現状の限りにおいて有効とする。
第9章 罰則
(罰則)
第40条 次の各号のいずれかに該当する者は、10万円以下の罰金に処する。
(2) 第22条の規定による命令に違反した者
2 次の各号のいずれかに該当する者は、3万円以下の罰金に処する。
(1) 第12条の規定に違反した者
(2) 第21条第2項の規定に違反した者
附 則
(施行期日)
第1条 この条例は、平成19年4月1日から施行する。
(南牧村開発基本条例の廃止)
第2条 南牧村開発基本条例は、廃止する。
附 則(平成25年条例第15号)
この条例は、平成25年4月1日から施行する。